大阪地方裁判所 平成5年(わ)421号 判決 1993年10月19日
本店所在地
大阪市港区南市岡三丁目二番一九号
株式会社岡田組
(右代表者代表取締役 岡田和代)
本籍
大阪市港区南市岡三丁目五三番地
住居
同市港区南市岡三丁目二番一八号
会社役員
岡田和代
昭和一四年一月二六日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中井隆司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社岡田組を罰金二四〇〇万円に、被告人岡田和代を懲役一年六月にそれぞれ処する。
被告人岡田和代に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社岡田組(以下「被告会社」という。)は、大阪市港区南市岡三丁目二番一九号に本店を置き、土木工事業を営むもの、被告人岡田和代(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として、業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一 昭和六三年二月一日から平成元年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が三九七〇万五一三四円で、これに対する法人税額が一五五三万六九〇〇円であるのに架空の外注費を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成元年三月三一日、大阪市港区磯路三丁目二〇番一一号所在の所轄港税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一一一二万二三八四円でこれに対する法人税額が三五三万二〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一二〇〇万四九〇〇円を免れ(別紙1の(1)、(2)の修正損益計算書及び別紙4の税額計算書参照)
第二 平成元年二月一日から平成二年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が七五六二万二一八円で、これに対する法人税額が三〇六〇万二四〇〇円であるのに、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成二年四月二日、前記港税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二四九六万一三六五円でこれに対する法人税額が九三二万五六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税二一二七万六八〇〇円を免れ(別紙2の(1)、(2)の修正損益計算書及び別紙4の税額計算書参照)
第三 平成二年二月一日から平成三年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が二億二五四四万七五円で、これに対する法人税額が八九一二万二八〇〇円であるのに、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成三年四月一日、前記港税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四七五五万一四八五円でこれに対する法人税額が一七九六万七二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税七一一五万五六〇〇円を免れ(別紙3の(1)、(2)の修正損益計算書及び別紙4の税額計算書参照)
たものである。
(証拠の標目)<注>括弧内の算用数字は記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)記載の当該番号の証拠を示す。
判示事実の全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書二通
一 濱田幸太郎の検察官に対する供述調書
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 大蔵事務官作成の証明書(8)
一 収税官吏作成の査察官調査書一二通(9、10、13、14、16、18ないし24)
一 収税官吏作成の査察官調査報告書(28)
一 法人の登記簿謄本
一 閉鎖した役員欄の用紙の謄本二通
判示第一及び第二の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書二通(11、12)
判示第一及び第三の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(15)
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(1)
一 大蔵事務官作成の証明書(4)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(2)
一 大蔵事務官作成の証明書(5)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(3)
一 大蔵事務官作成の証明書(6)
一 収税官吏作成の査察官調査書(17)
(法令の適用)
被告人の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、判示各所為につき、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して、罰金額をその免れた法人税の額以下とし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金二四〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 松下潔)
別紙1の(1) 修正損益計算書
<省略>
別紙1の(2) 修正損益計算書
<省略>
別紙2の(1) 修正損益計算書
<省略>
別紙2の(2) 修正損益計算書
<省略>
別紙3の(1) 修正損益計算書
<省略>
別紙3の(2) 修正損益計算書
<省略>
別紙4 税額計算書
<省略>